バンドは起業?音楽を知らなかったバンドマン 40歳独身男の青春

グルーヴを感じるギタリスト

以前、ハードロックのバンドでギターをやっていた元バンドマンとお話したことがありました。

そのとき、「バンド活動は起業のようなもの」だと感じました。

また、彼の話があまりにも面白かったので、ちょっと紹介したいと思います。

売れたいバンドは起業のようなもの

その人は、もともとハードロック系の音楽が大好きで「ハードロックバンドで成功してやる!」と上京。

その後、東京に来てから10年ほどバンド活動に専念した。10年は頑張ろう、と思ってたから。

その10年間は「売れるにはどうすればいいか?」だけをひたすら考えた。

当時はやっていたのが V系(ヴィジュアル系)バンドだったので、髪の毛がピンク色にしたり、濃い目のメイクをしたり。

バンドのイメージを崩さないために、夏でも真っ黒な革ジャンを身にまとう毎日。

また、バンド活動というのは意外にお金がかかる。また、売れていないと収益がない。

スタジオを借りたり、ライブをするのにもお金がかかる。 バイト代は、全てバンド活動につぎ込んだ。

そして、毎週ミーティング。テーマは「どうしたら売れるか」「どんな曲が売れるか」「バンドの方向性」

「どういう音楽を作りたいか」というのは、まったく争点にならなかった。大事なのは「売れる」こと。

そう聞くと、バンド活動ってまるで起業みたい。どう売れるかを、みんなでひたすらアイディアを練る毎日。

信じられない話だけど、10年も音楽活動をしていたのに、音楽のことなんて何もわからなかった。

「音楽を楽しむ」なんて余裕はなく、「 売れたい」「成功したい」が強かったから。

しかし、10年間は続けたものの、日の目を浴びることのなかったインディーズロックバンドは解散。

少しは注目されたこともあったけど、バンドメンバーはそれぞれ別の仕事を探すことになった。

青春の終わり。なんか、切ないね。でも、そんなもんだよバンド活動って。

そして、バンドを解散した後、何をしていいかわからなかった。借金があったから、それを返すためにバイト。

1年ほどふらふらと借金返済のためのバイト生活をしていると、ある日、人生に転機が訪れた。

28歳になるまで「ジャズ」を知らなかった

28歳にして、「ジャズ」という音楽に初めて出会った。「こんな音楽があるのか」と、衝撃だった。

10年もミュージシャンをしながら、「ジャズ」知らないってどういうことだよ・・・カフェでいつも流れているでしょ!

というとんでもない話だけど、実際にあった話です。カフェなんて行かねえし。

それまで、パワーコードしか弾けなかったギタリストは、ジャズギターの先生に習いに行きました。本格ジャズ修行の始まり。

「きっ、きみ10年間もやってたのに、何も知らないじゃないか!」と、驚かれました。そりゃあねえ。

そして、ジャズ仲間が増えていくにつれ「音楽で飯を食う」ということがバンド活動をするという形だけではないことを理解した。

音楽学校の先生やスタジオミュージシャンなど、あらゆる形で音楽に携わりながら仕事ができる。

「音楽っておもしろいな」と思えたのが、バンドが解散した後というのは皮肉なことですが、

気づいたからには頑張るしかない。28歳から「ジャズギタリスト」を本気で志す。

でも「このままではいけない」と感じ、お金もないのに単身渡米。音楽の聖地、ニューヨークへ!

ニューヨークは多くのセッションバーがあるけど、日本とは比べものにならないほどレベルが高い。

本当はアメリカの音楽スクールに通いたかったけど、お金も実力もないから語学学校のビザを取得。

バーのレベルが高すぎてなんども帰国も考えた。でも、周りにいた同じ志を持った仲間に励まされ覚悟を決めた。

まず、安い家を探さなければ。ニューヨーク郊外にある格安アパートを契約。

住人は、ほぼドラッグ依存症。家の前に注射器が転がっていたことも。でも、ひたすら練習した。

飲食店どでバイトをしながら JAM SESSION に通い続ける毎日。

一年間だけだったけど、最終的には音楽で少し稼げるようにもなった。英語も少し話せて、友達もたくさんできた。

40歳で夢を見るギタリスト 独身男の青春

というような話でした。

その人は、もう40歳手前でした。もしかしたら、家族や友人には馬鹿にされているかもしれません。

家庭を持ったり、子育てをしたりするような幸せはではないかも。年収なんて200万もいかないでしょう。

確かに、普通の幸せからはかけ離れた存在。聞く人が聞けば、完全に落ちこぼれた人生でしょうか。

でも、あの人の目はすごく輝いてた。すごい情熱のあるキレイな目をしていました。

「まだまだ、自分には足りないことが多すぎる」だって。この人、今めっちゃ幸せなんだなって感じました。

経歴や数字だけ見れば、完全にワーキングプアだけど。青春しているおじさん、かっこよかったです。

それにしても、わたしの周りにはこういう自由な独身おじさんが多すぎる・・・みんな大丈夫かな。